マイコトキシン
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原著
タラロマイセス・フラブス IFM52668 株から得られる新フニコン誘導体
駒井 信一郎細江 智夫板橋 武史野沢 幸平カオル・ オカダガルバ・マリア・ デ・カンポス・タカキ近森 穣矢口 貴志福島 和貴宮治 誠河合 賢一
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2004 年 54 巻 1 号 p. 15-19

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抄録
深在性真菌症に対する新規抗真菌剤の開発の一環として,土壌由来の分離菌102 株を,病原性糸状菌2 種および病原性酵母2 種に対する抗真菌試験を指標に探索を行い,37 菌株のエキスに何らかの抗真菌活性が認められた.そこで,日和見感染症の一つであるアスペルギルス症などの原因菌であるアスペルギルス・フミガタスに対して特異的に抗真菌活性を示したタラロマイセス・フラブス IFM52668 株に着目し,その成分検索を行った.その結果,フニコン(1),ベルミスタチン(3)およびエメリン(4)とともに新規化合物9,14- エポキシ-11-デオキシフニコン(2) を単離することができた.化合物2 は各種スペクトル,特にNMR スペクトルの解析から,その平面構造を決定した.また化合物1,3 および4 についても各種スペクトルの解析から,その構造を決定した.これらの化合物の抗真菌テストの結果,主成分であるフニコン(1)が弱いながら抗アスペルギルス・フミガタス活性を示したことより,タラロマイセス・フラブス IFM52668 株の抗真菌活性本体はフニコン(1)であることが明らかとなった.
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© 2004 日本マイコトキシン学会
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