マイコトキシン
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第55回学術講演会要約
Penicillium expansumの胞子の発芽と菌糸によるリンゴ組織の分解
藤井 貴明
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2004 年 54 巻 2 号 p. 101-105

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抄録
Penicillium expansum が形成する分生胞子からは,これを緩衝液に懸濁するだけで,キシラン分解酵素とペクチン分解酵素が容易に溶出してきた.セルロース分解酵素活性は検出されなかった.キシランおよびペクチン分解酵素の活性レベルは,胞子形成培地中の炭素源により大きく影響を受け,キシラン培地の培養から収穫した胞子はキシラン分解酵素の,ペクチン培地からの胞子はペクチン分解酵素の高い活性を示した.胞子の酵素活性レベルと発芽管の伸長との間には相関が見られた.キシランとペクチンを炭素源とした培地をそれぞれ用いて,本菌を培養して得られた培養ろ液をキシラン分解酵素液,ペクチン分解酵素液として果実に作用させた結果から,キシラン分解酵素は果実組織の細胞壁を破壊し,ペクチン分解酵素は果実組織より細胞を相互に切り離す作用があることが分かった.本菌の培養液から,キシラン分解酵素として2 種のキシラナーゼとβ- キシロシダーゼが単一なまでに精製された.
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© 2004 日本マイコトキシン学会
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