抄録
AOAC のオフィシャルメソッドである大麦中のオクラトキシンA の分析法が玄米に適用が可能であるか否かを判定するために試験室間共同試験を実施した.試料として,ブランクの玄米(2 反復),オクラトキシンA 産生菌(Aspergillus ochraceus)を培養した玄米を希釈して調製した試料(2 濃度,2 反復),分析の直前に標準溶液を添加した試料(3 濃度,2 反復)の計12 試料を用い,12 機関で実施した.その結果,オクラトキシンA 濃度0.5 ~ 40 μg/kg の範囲におけるRSDr は3.4 から8.9 %,RSDR は9.6 から21.3 %,HorRatは0.4 から1.0 であった.また,オクラトキシンA 標準溶液を添加して実施した試験室間共同試験における回収率の平均は,0.5 μg/kg 相当の添加で88.0 %,20 μg/kg 相当の添加で87.2 %,40 μg/kg 相当の添加で82.6 %と良好であった.この結果から,玄米中のオクラトキシンA を分析するために,0.5 ~ 40 μg/kg の濃度範囲においてAOACの大麦中の分析法(2000.03)を適用することは可能であると判断された.