マイコトキシン
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受賞総説
カビ毒配糖体(マスクドマイコトキシン)に関する研究
中川 博之
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2016 年 66 巻 1 号 p. 21-25

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抄録
 新規カビ毒配糖体(マスクドマイコトキシン)の検出を目的として,高分解能LC-MS(LC-Orbitrap MS)による精密質量を指標としたスクリーニングを行った.その結果,フザリウム菌感染小麦玄麦試料においてタイプBトリコテセン(ニバレノール,フザレノン-X)由来のモノグルコシド,およびトウモロコシ粉末認証標準物質試料においてタイプAトリコテセン(T-2トキシン,HT-2トキシン,ネオソラニオール,ジアセトキシスシルペノール,モノアセトキシスシルペノール)由来のモノグルコシド体がそれぞれ検出された.T-2トキシン,HT-2トキシンに関してはジグルコシド体も検出された.これらの知見から,マスクドマイコトキシンがデオキシニバレノールやゼアラレノンのような特定のマイコトキシンのみではなく,他のフザリウムトキシンについても存在することが示された.
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© 2016 日本マイコトキシン学会
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