抄録
新規カビ毒配糖体(マスクドマイコトキシン)の検出を目的として,高分解能LC-MS(LC-Orbitrap MS)による精密質量を指標としたスクリーニングを行った.その結果,フザリウム菌感染小麦玄麦試料においてタイプBトリコテセン(ニバレノール,フザレノン-X)由来のモノグルコシド,およびトウモロコシ粉末認証標準物質試料においてタイプAトリコテセン(T-2トキシン,HT-2トキシン,ネオソラニオール,ジアセトキシスシルペノール,モノアセトキシスシルペノール)由来のモノグルコシド体がそれぞれ検出された.T-2トキシン,HT-2トキシンに関してはジグルコシド体も検出された.これらの知見から,マスクドマイコトキシンがデオキシニバレノールやゼアラレノンのような特定のマイコトキシンのみではなく,他のフザリウムトキシンについても存在することが示された.