マイコトキシン
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新しい植物バイオテクノロジーの農業への展開・・・ゲノム編集技術による高機能作物の育種に向けて
島田 浩章
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論文ID: 68-2-5

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抄録

 現在の農業で栽培されている作物はさまざまな品種改良を受けている.品種改良は,良さそうな形質をもつ植物を交配し,その子孫の中から求める形質を集積した個体を選ぶ交配育種や,放射線や薬剤を利用して人為的な突然変異を誘発し,生じた変異体から有用なものを選ぶ変異体育種が広く行われている.近年は,組換えDNA技術を用いて新たな形質を導入した作物が開発され,広く流通している.ゲノム編集は2010年頃に開発され,CRISPR/Cas9などの特定の配列を認識して切断する人工ヌクレアーゼを用いて特定の遺伝子に変異を導入する技術である.これにより狙った遺伝子の変異体が得られる.われわれは翻訳エンハンサーであるdMac3を利用した植物用に最適化したゲノム編集システムを開発した.ジャガイモは4倍体ゲノムを有する.塊茎のデンプン中のアミロースの産生に関わる顆粒結合型デンプン合成酵素遺伝子(GBSS)を標的とするCRISPR/Cas9遺伝子を利用することで,4つの対立遺伝子のすべてに変異が導入された変異体が得られた.変異体ジャガイモの塊茎に含まれるデンプンは低アミロースの形質を有することが分かった.

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