論文ID: 73-1-3
フィリピン諸島は, 温暖湿潤な熱帯に位置し, かび毒産生菌の生育に適していることから, かび毒汚染のリスクが高い環境下にある. かび毒産生菌は, かび毒汚染に加えて農産物の収穫量・品質低下をもたらしうる. 長年にわたり, 種々のフィリピン産農産物に存在するかび毒産生菌の分離とかび毒(アフラトキシン, フモニシン, ニバレノール, オクラトキシン, ゼアラレノン)検出の研究が行われてきた. かび毒防止と低減のための政府の介入策として, 行動規範が存在する. それらは, 生産者, 輸出入業者, 製造業者, 小売業者を, 適正な生産と収穫後の手順に導くものである. 本稿では, 過去の研究と現在入手可能なデータをまとめ, フィリピンにおけるかび毒汚染と制御の現状を俯瞰する.