マイコトキシン
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ニューギニア・東南アジアの食品と土壌におけるマイコトキシン生産菌の分布
宇田川 俊一
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1976 年 1976 巻 2 号 p. 10-15

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抄録

自然界における菌類の分布は気候風土とよばれる生態環境に大きく依存し,生物相互の競合やすみ分けと相まって地域的な特長を形成している.これまでの各種の植物調査結果からも,例えば熱帯地方に分布する大型菌類が北上して,わが国の沖縄,南九州にまで発見された例は少なくない.このような分布は微小菌類にも当てはまる場合がある.土壌菌類では,Aspergillusが南方型でPenicilliumが北方型であることを指摘した報告もみられるが,Aspergillusの生育適温が一般に30~35℃で,Penicillirmの20~25℃よりも高いという性質からも予知できることである.また,アフラトキシン(以下AFと略す)生産菌が,熱帯地方に主として分布しているということも最近強調されているところである.日本の南西諸島から東南アジア・ニューギニアにかけての環太平洋地域はアジア共通の問題として調査して行かなければならない.1967年以来,日本国内の肝癌多発地域の食品調査と並行して上記地域への海外調査を試みた動機の一つは以上のようである.ここではAF生産菌の分布を中心に菌学的知見の一部を述べる.

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© 日本マイコトキシン学会
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