マイコトキシン
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病原性真菌Microsporum cookei産生色素xanthornegninのリン脂質二重膜透過性について
河合 清秋田 武野沢 義則
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1977 年 1977 巻 5-6 号 p. 42-44

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抄録

Naphthoquinone色素xanthomegninはM.cookeiだけでなく,多くの病原性皮膚糸状菌やAspergillus等により産生されることが知られており,色素産生と病原性との関連や毒性等を知ることは,意義深い.Xanthomegninはミトコンドリアの酸化的リン酸化反応を除共役することが知られており,ミトコンドリアに対する除共役作用は肝・腎臓に対する強い細胞毒性を暗示している.Xanthomegninの場合,その除共役作用に,強い脂溶性と5,5'-位のフェノール性水酸基が関与していることが,そのO-methyl誘導体との比較により証明された.一般にフェノール化合物による除共役作用はミトコンドリア内膜上でH+-conductorとして作用し,膜の電気化学的ポテンシャル(ΔμH+)を消去することにあると理解されており,Hinkleの興味深いモデル実験が報告されているが,実際にリン脂質二重膜を介して自由に通過するという直接の事実は得られていない.Xanthomegninの毒性発現機序の一つとして,リン脂質二重膜透過性を調べるために,Xanthomegninの酸化還元反応ならびにその特徴的なスペクトル変化を利用して,Fig.1に示されているような反応系を組んで行った実験成績について報告する.

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