マイコトキシン
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オクラトキシン生産菌について
堀江 義一
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1983 年 1983 巻 18 号 p. 2-5

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抄録
オクラトキシン(OCT)は1965年にScottによって,南アフリカ産トウモロコシから分離されたAspergillus ochraceusから最初に発見されたマイコトキシンで,わが国ではNatori et al.によってアズキ,トウガラシ粉より分離されたA.ochraceusから最初に報告され,ついで宮木ら,Yamazaki et al.によって宮城県および千葉県産の精白米,玄米より分離されたA. ochraceusからも報告されている. オクラトキシンは発見当初,肝毒性を示すとされていたが,近年では強い腎毒性について注目されている.しかし,わが国においてはA.ochraceusの分布は一部食品をのぞいて比較的少なく,また,家畜などに対する中毒例も見られず,穀類をはじめとする食品への自然汚染例も極めてわずかで一部の研究者をのぞいて注目されるにはいたらなかった.しかし,近年,北ヨーロッパを中心にPencillium viridicatumを原因菌とするブタの中毒や,アメリカにおけるA. ochraceusを原因菌とする家禽の中毒が多数報告され,Kanisawa and SuzukiによるオクラトキシンA(OCT-A)の発ガン性が報告されるにいたり,近年再評価されつつある. 今回,ここでは現在までに報告されているOCT生産菌と,その分類について報告し,若干の評価を加えたい.
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© 日本マイコトキシン学会
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