マイコトキシン
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ボツリヌス神経毒素の構造と生理機能
久保 周一郎
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1989 年 1989 巻 30 号 p. 13-17

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抄録

微生物の産生する毒素タンパク質はヒトおよび動物に対する殺傷力が強く,古くからその構造と機能および防圧が研究の対象となってきた.すなわち,その作用が微量で発現することから,(1)酵素の阻害,特にカスケード反応への関与,(2)細胞膜の攪乱,(3)イオン輸送の攪乱および(4)高次生体制御系の攪乱など細胞間および細胞内情報伝達系への関与が予想されてきた.一方,毒素の単離・精製が進み,その構造と機能に関する知見が蓄積されるにつれて,毒素の特異的な作用を積極的に利用し生体機能の解明に役立てる気運が高まりつつある. ボツリヌス神経毒素は嫌気菌Clostridium botulinumの産生する毒素タンパク質で高次生体制御系を攪乱する.ここでは,本毒素の構造と機能に関する知見をまとめるとともに,本毒素による生体機能の解析への応用について考察する.

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