抄録
低Reynolds数 (Re<1) で円柱を過ぎる定常な粘性せん断流をOseen近似の解析解とNavier-Stokes方程式の数値解で研究し, それらの特性値の結果をRe≦1, シアパラメーター, ε, ε≦1.0の範囲で比較する。
Oseen近似を基盤とした解析から求めた流れ関数Ψと渦度ζの展開式はRe数の4次の次数, O (Re4), まで, 抗力係数CD, モーメント係数CMはそれぞれRe数の3次の次数, O (Re3), まで, そして揚力係数CLはO次の次数まで求める.
数値計算は我々の前報の解析解から求めた流れ場の初期値と外側境界値を使用し, 流れ場では圧力が一価になるように工夫しておこなう.
解析解で求めた流れの形, モーメント, そして円柱上の圧力分布はRe<0.3, ε<0.5の範囲で数値解とほとんど一致するが, 揚力の比較はかなり異なる.特に, 揚力の両結果の方向が逆になることは注目される.