2006 年 25 巻 4 号 p. 357-366
水泳の推進力において, これまで抗力に基づく推進力が支配的と考えられていたが, 近年揚力の役割の重要さが指摘されはじめた.泳者の手の動きは非定常で, ダイナミックリフトと呼ばれる非定常揚力を考慮する必要がある.本研究では, 泳者の手のサイズを模擬した円盤型の翼模型を使用し, ピッチング運動する模型に作用する非定常流体力の測定を行い, 揚力に影響を及ぼす渦の挙動を調べた.3次元円盤型翼模型において, ピッチング運動により失速角の遅れと揚力の増加が確認できた.揚力と翼後縁から流れ出た渦の挙動は密接に関係している.渦の発達にともない揚力は増加し, 形が崩れ始め渦が弱くなるのと同時に揚力は低下していく.