抄録
無限に広がった静止している, 非圧縮粘性流体中に定温に加熱された球が置かれるとき, 球のまわりに誘起される定常自由対流が数値的に調べられる.本研究で用いられる手法は, 著者らが先に提案した接合ADI法である.その方法においては, 解法を促進するため便宜上, 流れ場を2つに分割する, すなわち球表面をおおう境界層領域と上方淀み軸に沿う噴流領域とである.これらの領域においてナビエ・ストークスおよびエネルギー方程式はDavisのスキームによって離散化され, そうして分割境界を越えて滑らかに接続できるような解が得られるまで交互に解かれる.Pr=0.72をもった流体の流れが, Grd=8×105, 8×106, 8×107の場合に計算され, 速度場, 温度場が決定される.これから, 対応する球のヌッセルト数としてNud=14.25, 23.90, 41.09が見いだされる.ここにPrはプラントル数, Grdは直径基準のグラスホフ数である.