日本流体力学会誌「ながれ」
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宇宙気体力学の数値シミュレーション
アクリーション流をめぐって
松田 卓也
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1986 年 5 巻 3 号 p. 234-242

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抄録
天体物理学の諸現象には, 気体力学が重要な役割を果たす場合が多い.天体現象は実験が不可能であるため, コンピュータによる数値シミュレーションが, これからますます必要になってくる.ここでは宇宙気体力学の特徴を述べ, ひとつの例としてアクリーション流のシミュレーションを紹介する.アクリーション流とはガスが天体の重力にひかれてふりつもる現象であり, 核エネルギー以上に大きなエネルギーを放出する可能性のあるプロセスである.具体的な例として, 近接連星系にあるコンパクト天体 (白色綾星, 中性子星, ブラックホール) へのガスのアクリーションについて, われわれの計算した結果を紹介する.スーパーコンピュータと現代的アルゴリズムの採用により, いままでとは異なる結果がえられた.これはアクリーション流の定説へのひとつの挑戦となるであろう.
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