本研究は, やわらかい壁を一部にもつ溝の中の2次元流れを数値解析によって調べたものである.主な結果は, 次の通りである.
(1) 上流側が定常流 (Reynolds数50) の場合, やわらかい壁の部分は, 壁の固有振動数に近い振動数で振動する.また, やわらかい壁の前後の平均の圧力降下は, 剛体壁の場合に比べて小さくなる.このことは, 生理流体力学的にみると, 血管壁のもつやわらかさのために, 血液は剛体壁に比べて輸送されやすくなると考えられる.
(2) 上流側が拍動流 (Womersley数8) の場合, やわらかい壁の部分は, 壁のもつ固有振動数の波と, 拍動流の周期の波とが干渉を起こす.
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