抄録
管内の圧力の変化に応じて壁面が変位する管の中の流れについて流速変動と壁面の変位変動を測定し, 流れの不安定性に対する影響を実験的に調べた.薄肉のゴム管に水を定常的に流し, 流れが層流から乱流に遷移する状態を観測した.流速変動は管の出口近くの中心軸上においたホットフィルム流速計で, 外壁の変位振動はgap senserで測定した.壁の変位の応答状態を変化させる目的で, ゴム管の長さ及び管の周囲の媒質を変えて測定をした.ゴム管内の流れは剛体管内の流れに比べて流れに生じた乱れの成長が遅く, 管のフレキシビリティは流れの乱れの成長を抑えるはたらきのあることがわかった.管壁の最大振動数と流速変動の最大振動数には負の相関があり, 剛体管内の流れと比べて流速変動の最大振動数が最小になる管壁の振動数のあることが見られた.管壁の振動状態は流れの不安定性の成長を抑えるのに重要な役割をもち, 最も適した条件のあることが結論された.