保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
宮崎県椎葉村の九州大学宮崎演習林におけるシカの食性
高槻 成紀 片山 歩美
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論文ID: 2334

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抄録

要旨: これまで情報の乏しかった九州のシカの食性の例として宮崎県椎葉村の九州大学宮崎演習林において2022年と2023年の四季にシカの糞を分析した。本調査地では1970年代からシカが増加し、2000年頃にはスズタケが消滅するなど森林生態系が強いシカの採食影響を受けている。シカの糞組成は一年を通じて貧弱であり、夏でも生葉(枯葉以外の各植物の葉の合計)が30%ほどしか占めておらず、繊維や稈が大半を占めていた。2000年代初期に行われた胃内容物や各地で行われた糞組成と比較し、現在のシカの食性は近年のシカ増加に伴う林床植生の劣化によって著しく劣悪なものとなっていると考えた。 キーワード: 九州、採食影響、ニホンジカ、糞分析

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