2011 年 100 巻 12 号 p. 3640-3648
特発性正常圧水頭症は高齢者にみられ,歩行障害,認知障害,排尿障害などを有し,脳室拡大を呈するも髄液圧は正常域にあり,髄液シャント術で症状の改善が得られる症候群である.急速に高齢化の進む我が国において,本症候群の正確な診断と適切な治療は患者の自立向上と介護負担軽減の観点から社会的にも重要なテーマである.2011年の改訂ガイドラインでは,典型例では,小刻み・すり足・開脚歩行といった歩行障害を有し,かつ,脳室拡大に加えて高位円蓋部狭小化とシルビウス裂開大を示す特徴的な画像所見を認めることを記載している.