日本内科学会雑誌
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100 巻, 12 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
内科学会NEWS
特集 肺炎の診療―ガイドラインの進歩
Editorial
トピックス
I.わが国の肺炎の疫学:現状と将来
II.わが国の肺炎診療ガイドラインの進歩
III.肺炎診断の進歩と実際
  • 徳江 豊
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3510-3515
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    喀痰塗抹検査は,手技が簡便で迅速性に富み,原因菌の推定が可能であるので,肺炎などの感染症の初期治療における抗菌薬選択の重要な指標となりうる.そのためには診断価値の高い質の良い検体を採取することが肝要であり,培養検査の結果と総合的に判断することで,互いの長所・短所を相補的に補完し臨床に有益な情報を提供する.しかし,実施者の経験によって手技や結果の解釈が異なる場合があり,今後の教育的・研究的評価が必要である.
  • 松本 哲哉
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3516-3521
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    肺炎の起炎菌の診断は従来から培養が標準的な方法であったが,より迅速に結果を得る方法として尿中抗原検出が利用されている.現在,肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検出が実用化されており,いずれも重症肺炎の原因となり得ることから,早期の鑑別が重要である.市販のキットは採取しやすい尿を検体とし,操作も簡便で,外来やベッドサイドでの検査が可能であるが,その特徴を把握して適確に診断に使用することが望まれる.
  • 関 雅文, 朝野 和典
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3522-3526
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    わが国では肺炎診療においてさまざまな血液検査所見が利用されているが,その中でもCRPが特に重要なマーカーとして汎用されている.CRPは肺炎の重症度とは必ずしも一致しないとされていたが,最近の院内肺炎や市中肺炎ガイドライン検証のための全国調査では,再び予後予測因子としての有用性も実証されつつある.プロカルシトニンなど他のバイオマーカーも含め,その長所短所を理解しながら,これらを実地診療に応用していくことが肝要である.
  • 芦澤 和人
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3527-3532
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    肺炎における画像診断の役割として,存在診断,重症度判定,細菌性肺炎と非定型肺炎との鑑別,経過観察・治療効果判定が挙げられる.特に院内肺炎では,早期診断や重症度判定,さらには非感染性肺疾患との鑑別を含めて画像診断の役割は大きい.CTの適応は慎重であるべきだが,市中肺炎と院内肺炎・日和見感染に分けて,代表的な起因病原体の特徴的な画像所見を把握しておく必要がある.
IV.肺炎治療の進歩と実際
V.最新の肺炎予防の実際
  • 丸山 貴也
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3570-3577
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    高齢者にとって肺炎は,生命を脅かす重篤な疾患であり,肺炎球菌は最も頻度が高く,重症化しやすい原因微生物である.2009年のインフルエンザA(H1N1)の流行の際,肺炎球菌との混合感染による重症化が明らかとなった事や,近年,日本人を対象としたインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用による予防効果,経済効果が報告された事から,両ワクチンの重要性が広く認知されるようになってきている.しかしながら,肺炎球菌ワクチンの公費助成については,国は主導しておらず,各自治体が独自に行っているのが現状である.今後は国民が公平にサービスを受けられる様,国が主導してワクチンの接種費用を助成し,両ワクチンの接種率向上に努める必要がある.
  • 寺本 信嗣
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3578-3585
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    肺炎入院症例の多くは高齢者肺炎であり,誤嚥性肺炎である.誤嚥性肺炎は嚥下障害患者に生ずる肺炎である.夜間の不顕性誤嚥という高齢者には広くみとめられる老化現象が原因である.そのため,高齢者肺炎は反復して起こる.これは,病原体に対する治療が進歩したのに対し,肺炎発症に深く関わる嚥下障害の対策が十分にできないことが原因である.診断には,嚥下機能評価が必須であり,治療では,適切な抗菌薬投与と同時に誤嚥予防に配慮した抗菌薬以外の治療の早期導入が重要である.嚥下機能回復を目指す嚥下リハビテーションが必須であり,同時に,不顕性誤嚥の誤嚥内容物の質を改善し得る口腔ケアのような手法が有効である.誤嚥性肺炎は抗菌薬投与のみでは良くならない.治療は困難であるが,個々人に応じた誤嚥対策を並行して行うことで予後は確実に改善する.その際,嚥下反射改善薬投与,胃食道逆流対策,肺機能の改善,嚥下障害を悪化させる薬剤の中止,禁煙,肺炎球菌ワクチン接種,脱水補正と栄養改善が肺炎予防と治療に重要である.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 石川 正恒
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3640-3648
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    特発性正常圧水頭症は高齢者にみられ,歩行障害,認知障害,排尿障害などを有し,脳室拡大を呈するも髄液圧は正常域にあり,髄液シャント術で症状の改善が得られる症候群である.急速に高齢化の進む我が国において,本症候群の正確な診断と適切な治療は患者の自立向上と介護負担軽減の観点から社会的にも重要なテーマである.2011年の改訂ガイドラインでは,典型例では,小刻み・すり足・開脚歩行といった歩行障害を有し,かつ,脳室拡大に加えて高位円蓋部狭小化とシルビウス裂開大を示す特徴的な画像所見を認めることを記載している.
  • 福本 誠二
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3649-3654
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    FGF23は,骨により産生され,Klotho-FGF受容体複合体に作用することにより,腎近位尿細管でのリン再吸収と,血中1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管リン吸収の抑制により,血中リン濃度を低下させるホルモンである.このためFGF23作用障害により,リン再吸収の亢進を伴う高リン血症を特徴とする,家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症が惹起される.逆に過剰なFGF23活性が,いくつかの低リン血症性くる病/骨軟化症の原因となることも明らかとなった.さらにFGF23は,慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の発現にも関与することが示されている.臨床的には,血中FGF23濃度の測定が低リン血症性疾患の鑑別に有用であることが提唱されている.またFGF23過剰産生モデル動物では,FGF23活性の抑制が病態を改善させることが報告されている.従ってFGF23作用を調節する方法が,今後リン代謝異常症の新たな治療法となる可能性がある.
  • 荒川 哲男, 藤原 靖弘, 富永 和作, 渡辺 俊雄, 谷川 徹也
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3655-3663
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    消化管傷害を来たす薬物として,もっとも頻度の高いものは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とアスピリンである.これらの薬剤は,整形外科領域やリウマチ内科で消炎鎮痛を目的とし,あるいは循環器や脳神経領域,ならびに代謝内分泌領域で血管イベントの一次,二次予防の目的で頻用されている.しかし,これらの薬剤による有害事象でもっとも多いのが,消化管イベント(出血,穿孔など)であり,消化器内科医とのクロストークがますます重要になってきた.胃酸分泌領域である上部消化管が病変発生の首座を占めるが,最近,小腸が可視化できるようになり,NSAIDs/アスピリンによる小腸粘膜傷害・出血がトピックスになっている.予防・治療に関しては,消化管全体を視野に入れた新しい考え方が必要になってきた.COX-2選択的阻害薬など,NSAIDs側の工夫も重要である.消化管傷害をきたす他の薬剤としては,抗生物質などがあるが,それらについても少し触れたい.
  • 大久保 憲
    2011 年 100 巻 12 号 p. 3664-3671
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    医療関連感染制御の基本は標準予防策と感染経路別予防策である.微生物別や疾患特異的な対応は,多岐にわたるため無駄が多く効率が悪い.ここでは,標準予防策の概念と,空気感染,飛沫感染,接触感染防止の基本について解説するとともに,わが国の感染制御の基本ともなるべく,厚生労働省からの「医療機関等における院内感染対策について」の通知を紹介した.通知においては,院内での感染対策の組織化と具体的な活動,アウトブレイク時の対応,地域のネットワークの構築などが主な項目として追加されている.さらに最近では多剤耐性菌による感染も散見されるため,患者病室などでは消毒薬を使用した環境整備が必要となる場合もある.今回は,中小病院や診療所などにおいても活用していただけるように,個人用防護具の必要性をはじめ,感染制御の基本的事項を中心に解説したい.
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