日本内科学会雑誌
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I.病因・病態―最新の知見―
1.急性リンパ性白血病
竹中 克斗赤司 浩一
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2011 年 100 巻 7 号 p. 1753-1764

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抄録

急性リンパ性白血病(ALL)は,BまたはT/NK系統へ分化決定した段階のリンパ系前駆細胞での腫瘍化と考えられている.ALLでは,t(9;22),t(12;21),t(4;11),t(1;19)などの染色体異常が高頻度に認められ,特定の細胞系統や分化段階,予後と強い相関を示す.これらの染色体異常では,正常には存在しない融合遺伝子が形成され,白血化の最初のイベントと推測されている.近年のマルチカラーフローサイトメトリーによる細胞純化技術の進歩と,免疫不全マウスを用いたヒト腫瘍細胞アッセイシステムの開発により,多くのがんで少数の自己複製能をもったがん幹細胞の存在が証明されている.ALLにおいても,病型特異的にみられる染色体異常を指標として,免疫不全マウスを用いて白血病幹細胞の同定が試みられ,白血病の多様な細胞の構成モデルが解明されつつある.

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© 2011 一般社団法人 日本内科学会
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