2011 年 100 巻 7 号 p. 1959-1962
症例は37歳,女性.乾性咳嗽で発症し,両側肺野にび漫性浸潤影を認め,経気管支肺生検にて低分化肺腺癌と診断した.epidermal growth factor受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬による治療を行ったが,呼吸不全が進行し診断後約2カ月の経過で永眠された.剖検では低分化の混合型肺腺癌で腫瘍巣が肺胞内に進展し,撒布像を示した.治療前の原発巣の生検検体からはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性遺伝子変異T790Mを認めた.急激な経過を辿った若年性肺腺癌であり,EGFR遺伝子変異と悪性度との関連の可能性が示唆された.