日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
今月の症例
治療前よりEGFRチロシンキナーゼ阻害薬治療耐性遺伝子変異を有し,急激な経過で死亡した若年性肺腺癌の1例
岡村 孝志渋沢 信行古賀 康彦堀口 昇男小柏 剛佐藤 賢久田 剛志佐藤 哲郎石塚 全森 昌朋
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 100 巻 7 号 p. 1959-1962

詳細
抄録

症例は37歳,女性.乾性咳嗽で発症し,両側肺野にび漫性浸潤影を認め,経気管支肺生検にて低分化肺腺癌と診断した.epidermal growth factor受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬による治療を行ったが,呼吸不全が進行し診断後約2カ月の経過で永眠された.剖検では低分化の混合型肺腺癌で腫瘍巣が肺胞内に進展し,撒布像を示した.治療前の原発巣の生検検体からはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性遺伝子変異T790Mを認めた.急激な経過を辿った若年性肺腺癌であり,EGFR遺伝子変異と悪性度との関連の可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top