2012 年 101 巻 2 号 p. 379-386
慢性心不全治療のゴールは予後の改善である.これまで,予後を改善することが確立している薬剤はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンII(AII)受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬,アルドステロン拮抗薬の3剤のみであり,しかも収縮不全においてのみである.左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)の予後を改善する薬剤はまだ確立されていない.心不全治療において強心薬やジギタリス,利尿薬の果たす役割は大きいが,予後の改善には結びついていない.