日本内科学会雑誌
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101 巻, 2 号
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内科学会NEWS
特集 慢性心不全:診断と診療の進歩
Editorial
トピックス
I.疫学と基礎研究の進歩
  • 柴 信行
    2012 年 101 巻 2 号 p. 307-313
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全は心ポンプ機能低下・臓器潅流低下・うっ血・日常生活上の障害を特徴とする臨床症候群である.本邦における有病率は人口の約1%と推測されており,主に人口高齢化を背景に増加している.海外と比較すると,本邦の慢性心不全の背景疾患は虚血性心疾患が少なく,弁膜症や心筋症が比較的多い.本邦の慢性心不全患者の生命予後は1年死亡率で7~9%と報告されている.心不全の発症と進行の予防が今後の診療の中心となる.
  • 塩島 一朗
    2012 年 101 巻 2 号 p. 314-321
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全の主要な病態は機能心筋の喪失と心筋細胞そのものの収縮不全であり,これらの病態を引き起こすメカニズムは心不全の基礎疾患によっても異なるものと考えられる.本稿では心不全の主要な分子機構として,心筋細胞死,心筋カルシウム調節異常,心筋虚血,慢性炎症の4つについて解説する.これら複数の要素の相互作用を解明していくことが,心不全の病態の全体像を明らかにし,有効な治療法を開発することにつながっていくものと期待される.
  • 甲斐 久史
    2012 年 101 巻 2 号 p. 322-328
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全は心筋障害により心筋のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要に見合うだけの血液量を心臓が絶対的にまたは相対的に拍出できない状態にあり,肺または体静脈系にうっ血を来たし,生活機能に障害を生じた病態である.その病態は単に心臓のポンプ不全ではなく,心臓の異常により引き起こされた血行動態,神経体液性因子,腎臓などの全身の異常をともなう症候群としてとらえることができる.
  • 小武海 公明, 吉村 道博
    2012 年 101 巻 2 号 p. 329-337
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全では神経体液性因子が活性化され,病態を修飾する.交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化は体液貯留・血管収縮により血圧を上昇させ,組織の低灌流を防ぐが,長期的には臓器障害を引き起こす.その一方で,Na利尿ペプチドの産生・分泌が亢進し,臓器保護的に作用する.これらの代償機転のバランスの破綻が慢性心不全の進展につながっている.
II.診断の進歩
  • 絹川 真太郎, 筒井 裕之
    2012 年 101 巻 2 号 p. 338-344
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全は症状および身体所見を中心としたFramingham基準によって診断される.したがって,詳細な問診と注意深い診察が極めて重要である.心不全の主病態は,左房圧上昇・低心拍出量に基づく左心不全と,浮腫,肝腫大などの右心不全に分けられ,これらに伴う症状・所見を診断する必要がある.近年,心不全はうっ血所見と低灌流所見の診察所見のみで重症度診断をし,治療にあたることが推奨されている.
  • 蔦本 尚慶, 和田 直人, 山川 高哉, 伊部 邦宏, 酒井 宏, 河原 千穂, 堀江 稔
    2012 年 101 巻 2 号 p. 345-353
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全診断・重症度評価・治療効果判定にバイオマーカーの果たす役割は大きい.今後,人口の高齢化に伴い心不全患者が増加し的確な診断と評価が重要になる.心不全は重症化すると予後不良であり,早期診断と治療が重要である.循環器疾患バイオマーカーの中でも,BNP,NT-proBNPは,慢性心不全ガイドラインにも述べられているように心不全の診断と評価に有用な心筋バイオマーカーであるが,腎機能など影響を及ぼす因子も考慮する必要がある.
  • 山田 博胤, 大木 崇
    2012 年 101 巻 2 号 p. 354-361
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全の診断,治療効果の判定,および経過観察に心臓超音波検査は欠かすことのできない手段である.臨床症状から心不全を疑った場合,まず左室駆出率(ejection fraction:EF)を評価し,EFの低下を認める場合にはドプラ法により拡張機能を評価し,心不全の診断および重症度評価を行う.一方,EFが保たれている場合には,各種器質的心疾患を除外した上で拡張機能を評価し,"EFが保持された心不全"として診断される.
  • 鬼塚 久充
    2012 年 101 巻 2 号 p. 362-368
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全において心筋イメージングに求められるのは原因の精査,重症度の判定,治療効果判定,予後の推測などである.現在日常診療で行われている心臓核医学検査として,血流イメージング,交感神経イメージング,脂肪酸代謝イメージング,糖代謝イメージングが挙げられる.また近年遅延造影MRIを用いて心筋の性状を評価することが可能となった.これらをうまく組み合わせて日常診療に役立てることが重要である.
III.予防・管理・治療の進歩
  • 井手 友美, 砂川 賢二
    2012 年 101 巻 2 号 p. 369-374
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全の罹患率は増加の一途をたどり,その管理,予防に対する正しい理解と対策が不可欠である.慢性心不全は,あらゆる心疾患によって発症するが,中でも虚血性心疾患および高血圧に起因する心不全は少なくない.これらの疾患を予防することが心不全の予防につながるため,生活習慣病の改善が予防の基本となる.食事療法,運動療法,禁煙,睡眠といった生活指導が全ての重症度の心不全において重要である.
  • 猪又 孝元
    2012 年 101 巻 2 号 p. 375-378
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    とかく心不全管理は,薬物療法など特殊治療に目が向きがちである.しかし,それを支える「基礎療法(管理)」と職種や施設を跨いだ「チーム医療」も,同時に重要である.食事や運動という治療法とともに,患者自身の適切管理,すなわち,禁煙,服薬遵守,活動制限,感染予防やセルフモニタリングで構成される.今や,慢性心不全は老人病に変貌した.すなわち,多疾患有病者で特徴付けられ,多面的包括診療がより求められる所以である.
  • 絹川 弘一郎
    2012 年 101 巻 2 号 p. 379-386
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全治療のゴールは予後の改善である.これまで,予後を改善することが確立している薬剤はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンII(AII)受容体拮抗薬(ARB),β遮断薬,アルドステロン拮抗薬の3剤のみであり,しかも収縮不全においてのみである.左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)の予後を改善する薬剤はまだ確立されていない.心不全治療において強心薬やジギタリス,利尿薬の果たす役割は大きいが,予後の改善には結びついていない.
  • 草野 研吾
    2012 年 101 巻 2 号 p. 387-394
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    慢性心不全では,心房細動や心室頻拍などの頻脈性不整脈は大変生じやすい状態になっており,特に心室性不整脈の存在は,患者の予後を規定する重要な因子である.不整脈発生の要因として,器質的要因,機能的要因,誘発因子が知られているが,心不全状態では,これらの要因が全て増幅された状態になっている.こうした重篤な不整脈合併の心不全患者に対する薬物治療の基本は,レニンアンギオテンシン系阻害薬やβ遮断薬による心不全治療による増悪因子の除去である.その上で,心房細動例では,古くから使われてきたジギタリスからβ遮断薬やアミオダロンへシフトしつつある.また心室頻拍・細動例では大規模試験の結果を受け,植込み型除細動器を植え込んだ上に発作の予防が必要な場合という限定的なものになってきている.
  • 円城寺 由久, 中里 祐二
    2012 年 101 巻 2 号 p. 395-400
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    大規模試験によるβブロッカーやACE阻害薬による心不全治療の有効性が多々報告されているが,同時にその限界も日常診療で経験される所である.近年発展著しい植え込み式除細動器,心臓再同期療法,人工心臓などのディバイス治療は,薬物治療を補助する上で心不全管理に欠かせない存在となってきた.これら医療機器を上手く活用出来るよう習熟することが,今後慢性心不全患者の生命予後やQOL改善に寄与するうえで重要である.
  • 百村 伸一, 内藤 亮
    2012 年 101 巻 2 号 p. 401-407
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    心不全には睡眠時無呼吸を高率に合併し,この睡眠時無呼吸を陽圧治療で治療することにより心不全患者の心機能が改善し,予後も改善できる可能性がある.睡眠時無呼吸には閉塞性と中枢性があり,前者には陽圧治療のうち,CPAPが用いられる.後者にはCPAPに加えて最近ASVが普及しつつあり,これらの治療により心機能やQOLが改善し心イベントも抑制できることが報告されている.
  • 斎藤 俊輔, 澤 芳樹
    2012 年 101 巻 2 号 p. 408-414
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    2010年7月より改正臓器移植法が施行され,我が国における心臓移植実施件数が飛躍的に増加した.現在,日本の心臓移植の成績は国際心肺移植学会のレジストリーと比較しても良好な成績を保っているが,心臓移植開始後10年以上が経過し,今後慢性期の諸問題が生じてくる可能性が考えられる.心移植の適応および急性期・慢性期の管理方針につき概説する.
  • 福田 恵一
    2012 年 101 巻 2 号 p. 415-423
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    難治性重症心不全の治療法として,iPS細胞を用いた再生心筋細胞移植が期待されている.センダイウイルスと末梢血T細胞を用いることにより,ゲノムを損傷しないiPS細胞が樹立できるようになった.これに対し幾つかの液性因子を添加することにより,心筋細胞が誘導された.純化精製した心筋細胞を移植すると心臓に長期間生着した.遺伝性心疾患患者由来iPS細胞は疾患の病態解明,創薬等に利用でき,今後の解明が待たれる.
座談会
MCQ
今月の症例
  • 田村 格, 藤井 達也, 高橋 亮太, 箱崎 幸也
    2012 年 101 巻 2 号 p. 451-453
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,女性.5日間のインドのデリー,アグラ,ジャイプールへの観光旅行から帰国した翌日に発熱と血便が出現.自宅近くのクリニックを複数回受診しスパルフロキサシン(SPFX),セファクロル(CCL)を投与されるが症状改善なく当院受診.便培養にて同定されたShigella flexneri(2a型)に対してアジスロマイシン(AZM)2g単回投与を実施したところ,翌日にはすべての症状が消失し,以後も再燃を認めなかった.薬剤感受性検査ではアンピシリン(ABPC),スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST),クラリスロマイシン(CAM),クロラムフェニコール(CP),シプロフロキサシン(CPFX),スパルフロキサシン(SPFX),レボフロキサシン(LVFX)への耐性が確認された.
  • 松村 隆志, 橋本 英明, 藤井 博司, 笠井 暁史, 小林 誠一, 佐藤 和人, 木下 康通
    2012 年 101 巻 2 号 p. 454-456
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    頭痛・発熱を伴う髄膜炎,口腔潰瘍,陰部潰瘍を初発症状としてBehçet病を発症した一例を経験した.初発時,症状がそろわずBehçet病の確定診断ができなかった.髄膜炎は細菌性を否定できなかったが,神経Behçet病を疑いメチルプレドニゾロンパルス療法にメロペネムを併用し治療したところ翌日には症状はほぼ消失した.神経Behçet病が強く疑われた際は速やかな治療の開始が重要と考えられた.また本例は血清プロカルシトニンが陰性で,細菌性髄膜炎との鑑別に有用と思われた.
  • 藤田 知香子, 角田 聖, 坂井 亮介, 乾 将吾, 田邊 進一, 山田 千尋, 小田 洋平
    2012 年 101 巻 2 号 p. 457-460
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    VACTERL連合とは,脊椎異常(V:vertebral defect),鎖肛(A:anal atresia),先天性心奇形(C:cardiac malformations),気道閉鎖を伴う気管食道瘻(T,E:tracheoesophageal fistula with esophageal atresia),橈骨および腎の異形成(R:radial dysplasia,renal dysplasia),四肢の異常(L:limb anomaly)の頭文字から成る奇形で,このうち2ないし3つ以上が併存すれば診断される1).一方,若年発症の心臓内伝導障害は,家族性や原因遺伝子の関与が示唆されている症例もある2)が解明されていない部分が多い.症例は,鎖肛手術歴のある35歳女性で完全房室ブロックを発症して緊急入院した.胸腰椎の変形や肋骨の融合,左上大静脈遺残(PLSVC)を認めたため,VACTERL連合と心臓内伝導障害の合併が疑われる極めてまれな症例と考えられた.
  • 音羽 孝則, 滝沢 英毅, 小川 弥生, 高田 珠, 山地 泉, 浦 信行
    2012 年 101 巻 2 号 p. 461-464
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    症例1は59歳,男性.Erysipelothrix Rhusiopathiaeによる感染性心内膜炎に腎炎を合併しPR3-ANCA陽性となり,腎病理にて管内増殖性糸球体腎炎の所見を認めた.症例2は,くも膜下出血にて脳室心房短絡術を施行された61歳,男性.PR3-ANCA陽性となりメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Methicillin Resistant Coagulase Negative Staphylococci:MRCNS)による髄膜炎(シャント感染)とそれによるShunt nephritisをきたした.腎病理にてPauci-immune crescentic glomerulonephritisの所見を認めた.PR3-ANCAはWegener肉芽腫のみならず感染性心内膜炎,Shunt nephritisでも陽性になることが知られている.今回PR3-ANCAが陽性となった感染症関連腎炎の2症例を報告する.
  • 小林 淳, 高野 真澄, 高橋 秀憲, 桃井 伸緒, 鈴木 均, 齋藤 修一, 藤森 敬也, 竹石 恭知
    2012 年 101 巻 2 号 p. 465-467
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,女性,6歳時にFontan手術を施行され,その後心不全徴候なく経過し,27歳時に妊娠が確認された.妊娠27週にて急激な心不全の増悪を認め,妊娠28週にて帝王切開に至った.出産後は速やかに心不全は改善した.Fontan手術成績が向上し,成人期に到達するFontan手術後患者は増加している.Fontan手術後患者における妊娠は,循環血液量の増加などにより心不全を発症し妊娠継続が困難な症例が多く,Fontan循環を熟知した関係各科との綿密な連携のもとに周産期管理が行われる必要があると考えられた.
  • 飯塚 貴士, 渋沢 信行, 吉田 佐知子, 水出 雅文, 小野 昭浩, 山崎 勇一, 高橋 洋樹, 佐藤 哲郎, 草野 元康, 森 昌朋
    2012 年 101 巻 2 号 p. 468-471
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は膵腫大と膵管狭細像,血中IgGやIgG4値の上昇などを特徴とし,自己免疫機序の関与が疑われる膵炎である.症例は74歳男性,糖尿病の悪化を契機に自己免疫性膵炎に特徴的な画像所見を発見された.FDG-PETによる全身検索を行い,肝結節性病変,唾液腺病変と胆管病変を認め,肝腫瘍生検の組織所見よりIgG4関連硬化性疾患として肝炎症性偽腫瘍の合併が明らかとなった.H. pylori除菌療法後,膵炎と肝偽腫瘍は自然軽快している.
医学と医療の最前線
  • 石田 陽治, 古和田 周吾
    2012 年 101 巻 2 号 p. 472-479
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病はその病態から免疫性血小板減少性紫斑病と呼ばれるようになった.血小板に対する自己抗体の産生により,巨核球造血の低下・血小板造血の低下さらにはオプソニン化された血小板がマクロファージにFc受容体を介して貪食されることによって血小板減少がおきると考えられる.治療のガイドライン概要として,第1選択薬は副腎皮質ホルモン,第2選択として摘脾が行われる.これらの治療によっても血小板数が3万/μを超えない場合は,TPOミメティクスが考慮される.リツキシマブ投与も有効であるが,保険適応がない.TPOミメティクスはエルトロンボパグとロミプロスチムが保険で使用可能であるが,いずれも有効率が80%程度であり,難治性ITPに適している薬剤である.Syk阻害剤の有効性も報告されているが,現在のところ臨床では使用できない.
  • 木下 芳一, 古田 賢司
    2012 年 101 巻 2 号 p. 480-487
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    大部分の逆流性食道炎例ではその治療は難しくはない.プロトンポンプ阻害薬(PPI)を用いた標準治療を行うと8週間で逆流性食道炎例の90%の食道びらん・潰瘍を,80%の自覚症状を消失させることができる.問題はPPI治療に抵抗する少数例の治療をどうするかである.標準的なPPI治療が不成功となる最も重要な原因はPPIによる胃酸分泌抑制が不十分であることである.そこでPPI治療抵抗性の逆流性食道炎の治療では胃酸分泌抑制をより強力にすることを目的として(1)PPIの投与量を増やす,(2)PPIの食前投与や2分割投薬を行う,(3)PPIの種類を変える,(4)PPIに加えて胃酸中和薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬を追加投薬する,などの対応をおこなう.これらの治療を行うことで,逆流性食道炎例の自覚症状を消失させ,またLos Angeles分類grade C,Dの重症例では症状を消失させるだけではなく合併症を予防することが可能となる.
  • 三森 経世, 細野 祐司, 中嶋 蘭
    2012 年 101 巻 2 号 p. 488-494
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    多発性筋炎および皮膚筋炎(PM/DM)患者には種々の細胞内・核内抗原を対応抗原とする多彩な筋炎特異的自己抗体が検出される.PM/DMにおける自己抗体の検査は,筋炎の診断のみならず臨床特徴・経過・予後を予測し,治療方針の決定において極めて有力な情報となる.特に抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体および抗CADM-140抗体は間質性肺炎の合併が極めて高率である.PM/DMに合併する間質性肺炎は頻度も高く,筋炎とともに治療介入の対象となることが多いが,その予後はこれらの特異自己抗体の種類によって大きく異なるため,治療介入前にできる限り自己抗体を測定することが望ましい.抗Jo-1抗体以外の筋炎特異的自己抗体は,現在のところ一部の研究室レベルでしか測定することができないが,ルーチンの測定法の開発がわが国で進行中である.
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