日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
多発性筋炎・皮膚筋炎における自己抗体研究の進歩―筋炎合併間質性肺炎のバイオマーカー―
三森 経世細野 祐司中嶋 蘭
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2012 年 101 巻 2 号 p. 488-494

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抄録

多発性筋炎および皮膚筋炎(PM/DM)患者には種々の細胞内・核内抗原を対応抗原とする多彩な筋炎特異的自己抗体が検出される.PM/DMにおける自己抗体の検査は,筋炎の診断のみならず臨床特徴・経過・予後を予測し,治療方針の決定において極めて有力な情報となる.特に抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体および抗CADM-140抗体は間質性肺炎の合併が極めて高率である.PM/DMに合併する間質性肺炎は頻度も高く,筋炎とともに治療介入の対象となることが多いが,その予後はこれらの特異自己抗体の種類によって大きく異なるため,治療介入前にできる限り自己抗体を測定することが望ましい.抗Jo-1抗体以外の筋炎特異的自己抗体は,現在のところ一部の研究室レベルでしか測定することができないが,ルーチンの測定法の開発がわが国で進行中である.

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© 2012 一般社団法人 日本内科学会
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