抄録
Wernicke脳症はビタミンB1欠乏を基盤とする疾患であるが,最近,チアミンのトランスポーター遺伝子変異によりWernicke脳症と類似した臨床的特徴をもつ兄弟例が報告された.周期性四肢麻痺は繰り返す四肢の弛緩性麻痺発作を特徴とする疾患であり,骨格筋細胞膜イオンチャネルの変異によるチャネル病として注目されている.重症筋無力症の原因となる新規自己抗体として,最近抗MuSK抗体や抗Lrp4抗体が同定された.橋本脳症は甲状腺に対する自己抗体が病態に関与する自己免疫性脳症であり,免疫学的治療に反応する.浸透圧性脱髄症候群は慢性低ナトリウム血症に対する急速な電解質補正が発症に関わる.