日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
脂肪組織機能異常とインスリン抵抗性
石川 耕横手 幸太郎
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2013 年 102 巻 10 号 p. 2691-2698

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抄録

肥満は持続した過栄養摂取により脂肪組織が肥大した状態である.肥大した脂肪組織機能の異常はインスリン抵抗性を惹起し,代償機構が破綻した時にメタボリックシンドロームのような代謝異常が顕在化する.脂肪細胞機能異常とインスリン抵抗性を引き起こす機序としては1.末梢での脂肪酸の影響,2.脂肪組織における小胞体ストレス,3.酸化ストレス,4.アディポカインとマクロファージ,5.脂肪組織における低酸素,6.脂肪組織の線維化であると考えられている.過栄養により血中脂肪酸が上昇し脂肪細胞以外にも脂肪蓄積を促進し,小胞体ストレス,酸化ストレスが出現し,インスリンシグナルが低下する.肥大化し,線維化した脂肪組織には低酸素状態を引き起こしマクロファージが浸潤し炎症性サイトカインが発現する.これらの要素が相互に影響することによって,インスリン抵抗性が促進される.

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