日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
高齢者肺炎の診断と治療
石田 直
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2013 年 102 巻 11 号 p. 2990-2997

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抄録

現在,日本では,高齢者における肺炎の罹病率,死亡率が増加しており,これを背景として医療・介護関連肺炎という新しい疾患概念も生まれている.高齢者の肺炎は,非典型的な症状や所見を呈することが多く,また,誤嚥が大きな要素となっている.高齢者肺炎の原因微生物は,若年者に比して多様であり,薬剤耐性菌の頻度が高くなるが,検出菌が真の原因菌であるかを検討しなければいけない.高齢者肺炎の治療は,患者の医学的および社会的背景ならびに薬剤耐性菌のリスクを考慮して原因微生物を想定し抗菌薬を選択するが,過剰な治療にならぬよう,用量や薬剤併用に留意する必要がある.また,補液,栄養管理,呼吸管理等,抗菌薬治療以外の治療にも留意する必要がある.高齢者肺炎の中には,末期肺炎,老衰としての肺炎,嚥下機能廃絶例も含まれ,これらに対してどのように対処していくか,社会的なコンセンサス作りも必要である.

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© 2013 一般社団法人 日本内科学会
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