日本内科学会雑誌
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102 巻, 11 号
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内科学会NEWS
目次
特集 感染症の診断と治療,予防―最近の進歩―
Editorial
トピックス
I.話題の感染症への対処法
II.診断と治療の進歩
III.抗菌薬の諸問題
  • 舘田 一博
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2908-2914
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    耐性菌の増加と蔓延が進行する中で,新しい抗菌薬の開発が進まない状況が深刻な問題となっている.米国では“2020年までに10薬剤の開発”をスローガンに,産官学の連携の中で抗菌薬開発促進の動きがみられている.その1例が2011年に施行されたGAIN法であり,この法律により耐性菌感染症に対する新しい治療薬に対して5年間の排他的(独占)販売期間の延長が認められた.日本でも,創薬促進検討委員会が立ち上がり,感染症関連学会,行政(厚生労働省,文部科学省,経済産業省),製薬企業との意見交換がスタートした.これまで世界標準の抗菌薬を多数創出してきた日本企業の知的・人的・物的リソースを生かす抗菌薬開発の環境整備が,今求められている.
  • 吉田 耕一郎
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2915-2921
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症に対して国内で全身投与可能な抗真菌薬は4系統,11薬剤である.欧米と比較するとまだ,十分とは言えないが,選択肢は増えてきつつある.特にアスペルギルス属に対して活性を有する複数の薬剤が臨床現場に導入されたことの意義は大きい.この領域でもPK-PDの研究が進み,適正な用法・用量を設定することの重要性が浸透してきた.また,各抗真菌薬の特性を踏まえて各々の臨床的位置づけを明確にする必要がある.
  • 露口 一成
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2922-2927
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    抗結核薬の歴史はストレプトマイシンの発見に始まり,多数の臨床試験の積み上げにより現在の標準化学療法が確立された.しかし多剤耐性結核の蔓延,より短期の治療レジメンの必要性,薬剤相互作用などさまざまな問題により新たな薬剤の出現が望まれてきた.近年,いくつかの新たな薬剤が新規抗結核薬の候補として開発され臨床応用に向けて研究が進んでいる.本稿ではこれまでの歴史と主な新規抗結核薬の現状について概説する.
IV.VPD(vaccine preventable disease)の理解と進歩
  • 齋藤 昭彦
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2928-2935
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    小児の予防接種をとりまく環境は激変している.相次いで導入された新しいワクチンの幾つかは既に定期化され,疾患の疫学が変化してきている.その一方で,国内の予防接種制度は,改革は進んではいるが,依然,その速い流れに十分対応できていない現状があり,実際の予防接種の現場でその問題点が指摘され続けている.今後も更なる改革に向けた継続的活動が必要である.
  • 丸山 貴也
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2936-2944
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    肺炎球菌は小児の20~40%,成人の5~10%が保菌しており,肺炎や髄膜炎などの重篤な疾患を引き起こす.また,インフルエンザに二次感染することで重症化することが明らかとなっている.肺炎球菌感染症の予防のために,小児には7価肺炎球菌蛋白結合型ワクチン(PCV7)(2013年11月からは13価肺炎球菌蛋白結合型ワクチン(PCV13)),成人には23価肺炎球菌莢膜多糖体型ワクチン(PPV23)の接種が推奨されているが,米国では2000年に小児へPCV7が導入されて以来,集団免疫効果により小児だけでなく高齢者でも侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)と肺炎が減少している.現在,他の先進国と比べて,日本のインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種率は低い水準にあり,今後は両ワクチンの接種率を向上する必要がある.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 安藤 朗, 藤本 剛英, 高橋 憲一郎
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2983-2989
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    我々は腸内細菌を利用してさまざまな食物からエネルギーを獲得している.腸内細菌は糖吸収を促がすだけでなく,食物繊維を発酵して脂肪酸を誘導しこれらがエネルギーとして利用される.一方,腸内細菌の存在は複雑な免疫機構の発達を誘導した.腸管は生体内最大のリンパ装置とされ,ここでは腸内細菌や食物抗原に対する免疫誘導と寛容が巧妙にコントロールされ過剰な免疫応答による組織障害が未然に防がれている.このホメオスタシスの乱れが炎症性腸疾患の発症につながる.一方,機能性消化管障害は,腹痛と便通異常などの症状があるにもかかわらず消化管検査では症状の原因を特定できないことから,腸管運動の機能障害と内臓神経の知覚過敏に起因する疾患と考えられてきた.しかし,最近の研究から機能性消化管障害の病態にも腸内細菌叢の関与が示唆されている.ここでは,腸疾患と腸内細菌叢のかかわり,腸内細菌を標的とした治療の実際について解説した.
  • 石田 直
    2013 年 102 巻 11 号 p. 2990-2997
    発行日: 2013/11/10
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    現在,日本では,高齢者における肺炎の罹病率,死亡率が増加しており,これを背景として医療・介護関連肺炎という新しい疾患概念も生まれている.高齢者の肺炎は,非典型的な症状や所見を呈することが多く,また,誤嚥が大きな要素となっている.高齢者肺炎の原因微生物は,若年者に比して多様であり,薬剤耐性菌の頻度が高くなるが,検出菌が真の原因菌であるかを検討しなければいけない.高齢者肺炎の治療は,患者の医学的および社会的背景ならびに薬剤耐性菌のリスクを考慮して原因微生物を想定し抗菌薬を選択するが,過剰な治療にならぬよう,用量や薬剤併用に留意する必要がある.また,補液,栄養管理,呼吸管理等,抗菌薬治療以外の治療にも留意する必要がある.高齢者肺炎の中には,末期肺炎,老衰としての肺炎,嚥下機能廃絶例も含まれ,これらに対してどのように対処していくか,社会的なコンセンサス作りも必要である.
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第17回東海支部専門医部会教育セミナーまとめ
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:「一目瞭然!目で診る症例」
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