日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
今月の症例
ビタミンB1が著効した衝心脚気及びWernicke脳症の1例
高橋 徹也近江 晃樹富樫 尚子齋藤 博樹桐林 伸幸新関 武史佐々木 敏樹金子 一善菅原 重生久保田 功
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 102 巻 7 号 p. 1790-1793

詳細
抄録

症例は77歳,男性.呼吸困難,浮腫の精査にてうっ血性心不全と診断され,利尿薬投与にて一時的に心不全症候は改善したが,再増悪し入院となった.動脈血ガス分析でアニオンギャップ開大性の代謝性アシドーシスを認め,脚気心に伴う高心拍出性心不全を疑い,ビタミンB1の投与を開始したところ循環動態は劇的に改善したが,経過中にWernicke脳症を併発した.治療抵抗性の心不全を認めた場合,脚気心の可能性を考え早期にビタミンB1投与を開始するとともに,意識障害を合併した場合はWernicke脳症の合併も考慮した積極的な頭部MRI施行が望ましいと考えた.

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top