抄録
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は,血中に抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPL)が産生され,血栓症や習慣流産などを来たす自己免疫疾患である.aPLは「病原性自己抗体」と考えられ,病態の解明が特異的治療法に直結する可能性のある全身性自己免疫疾患としても注目されている.一方で,APSの病態は依然として明らかになっていないことも多く,臨床的に一次予防,二次予防に関する明確なエビデンスも乏しい.本稿では,近年のAPSの診断と治療の進歩について概説する.