抄録
心筋症が遺伝性疾患であることは広く知られている.遺伝子解析研究が成果をあげてきたにもかかわらず,心筋症診療において遺伝子診断がおこなわれているのはごく一部の症例に過ぎない.遺伝子解析研究の成果を正しく理解することは病態生理を深く知ることにつながる.また,診療における遺伝子診断の有用性を正しく判断することにもつながる.特に,次世代シークエンサーにより膨大な遺伝子解析データが得られるようになり,解析結果の解釈にはより高度な遺伝子の知識が必要とされる.本稿では,遺伝子の視点から心筋症を概観する.