日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
骨髄増殖性腫瘍の病態と治療
小松 則夫
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 103 巻 2 号 p. 440-449

詳細
抄録

JAK2チロシンキナーゼ(以下JAK2)はエリスロポエチンやトロンボポエチンなどのサイトカインと受容体との結合によって活性化され,細胞内シグナル伝達に中心的役割を担う重要な分子である.2005年に真性赤血球増加症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症の3疾患に共通してみられるJAK2遺伝子変異が発見されたこれが恒常活性型のJAK2V617F変異である.その後もJAK2 exon12変異やc-MPL変異が次々と発見され,これらの3疾患が腫瘍性であることが再認識されるに至り,2008年に発表されたWHO分類第4版では骨髄増殖性疾患から骨髄増殖性腫瘍に名称が変更された.JAK2阻害薬がすでに開発され,骨髄線維症に対する効果として脾腫の縮小や全身症状・QOLの改善,さらには生存期間の延長や骨髄線維化の改善を認めている.本邦においても現在臨床試験が進行中である.DNAやヒストンの修飾に関与する分子の遺伝子変異も数多く報告され,メチル化阻害薬やヒストンアセチル化阻害薬なども臨床試験が行われ,欧米ではすでにJAK2阻害薬との併用も検討されている.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top