日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
生活習慣病と骨粗鬆症
山内 美香杉本 利嗣
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2015 年 104 巻 11 号 p. 2414-2420

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抄録

 2型糖尿病(diabetes mellitus:DM)や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)といった生活習慣病が骨代謝に影響を及ぼすことが明らかとなり,生活習慣病関連骨粗鬆症は続発性骨粗鬆症の代表例と位置づけられている.そして「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では生活習慣病関連骨粗鬆症を来たす原因疾患として,コントロール不良な2型DMやステージG3のCKDが挙げられている.また,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)においても骨折リスクが高まるとのエビデンスが集積しつつある.生活習慣病関連骨粗鬆症の治療法は確立されておらず,現時点では原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準に準じる.しかし,生活習慣病関連骨粗鬆症は骨質劣化型が多いとされ,骨密度では表されない骨の脆弱化が存在することから,代表的な骨折危険因子である脆弱性骨折の既往の問診とX線による椎体骨折判定が極めて重要である.骨折のない例では骨密度が若年成人平均の80%未満から治療介入を考慮する必要性が提言されている.

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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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