日本内科学会雑誌
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今月の症例
経過中に異なったタイプのthrombotic microangiopathy(TMA)を呈したループス腎炎の1例
巽 恵美子紙谷 史夏吉本 清巳藤村 貴則藤本 隆早川 正樹松本 雅則赤井 靖宏西尾 健治
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2015 年 104 巻 12 号 p. 2581-2588

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抄録

症例は26歳女性,顔面と下腿の浮腫を主訴に近医受診し,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)との診断のもと,血漿交換が施行され,ADAMTS13活性が上昇したにもかかわらず,血小板数が再低下し当科へ紹介となった.分析によりADAMTS13のインヒビターは存在せず,ADAMTS13の非中和抗体によるTTPであり,ループス腎炎によるネフローゼ症候群も合併していることが明らかとなった.その後も破砕赤血球の出現を伴う血小板低下が出現し,SLE(systemic lupus erythematosus)の血管内皮傷害による血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)と診断した.ステロイドのパルス療法とエンドキサンパルス療法にてTMAの再燃を徐々に抑制することができ,軽快退院となった.TMAの原因を判断しながら加療することが重要と考えられた.

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