日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
腎臓病と再生医学
横尾 隆
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2015 年 104 巻 3 号 p. 600-606

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抄録
現在30万人を超える透析患者は,長期透析に対する著しいQOL(quality of life)制限のみでなく,1.4兆円を超える透析医療費や,透析患者の高齢化に伴う介護福祉の負担拡大など大きな社会問題を招来しているが,腎機能を回復させる画期的かつ根本的な治療法はいまだ存在しない.昨今マスコミを賑わせている再生医療が,慢性腎不全の究極の治療法として期待は高まるが,腎臓はその解剖学的な複雑さから,最も再生が難しいとされる.特に既に腎機能が廃絶した透析患者に対応できる再生法は,現在ある腎臓病の進行を抑えるのではなく,新たに腎臓をde novoで作り出す必要があるため,腎臓再生研究は多くの研究者から敬遠されてきた.しかし,国内外には果敢にもその“de novo腎臓再生”という難題にチャレンジしている研究チームがある.本稿では,その一見無謀ともいえるチャレンジを紹介するとともに,その実現化に向けた展望と問題点を抽出したい.
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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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