2015 年 104 巻 5 号 p. 953-959
2型糖尿病の血糖と慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の血清リン値は相似性がある.血糖値が上昇するまでに血糖低下ホルモンのインスリンが上昇している時期があるように,血清リン値が上昇するまでに,リン利尿ホルモンの線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor23:FGF23),副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)が上昇している.高インスリン血症が予後を予測するのと同様,高FGF23血症や二次性副甲状腺機能亢進症は予後を予測する.CKD患者では血清リン値が昼食,夕食後に一過性に上昇することが近年判明し,この意味からリン吸着薬は糖尿病におけるαグルコシダーゼ阻害薬に相当するともいえる.