2016 年 105 巻 1 号 p. 112-118
C型肝炎に対する抗ウイルス治療はDAA(direct-acting antiviral)と呼ばれる一群の薬剤(NS3/4Aプロテアーゼ,NS5A複製複合体,NS5Bポリメラーゼのいずれかに対する特異的な阻害薬)の登場により,劇的に変化した.複数の薬剤を組み合わせることにより,2015年後半から,ゲノタイプ1型,2型のいずれに対しても,12週間の治療期間で95%超のウイルス排除(sustained virologic response:SVR)が期待できる時代に突入した.DAAに特有の問題として,治療非奏効時の耐性ウイルスの出現があるが,このような症例に対する対策は今後に残された大きな課題になっている.また,DAAにより,いままで治療が困難であった高齢者や線維化進展例からもSVRが得られるようになったが,このような症例からの肝発癌率は高いことが予想され,SVR後のサーベイランスが極めて重要である.また,非代償性肝硬変など現在の治療適応外の患者群が存在し,このような症例に対する治療法の確立が望まれている.