2016 年 105 巻 1 号 p. 25-30
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)と2型糖尿病はしばしば合併する.脂肪肝では肝臓由来分泌タンパク“ヘパトカイン”の分泌異常がインスリン抵抗性を惹起して糖代謝を悪化させている可能性がある.特にselenoprotein P(SeP),LECT2(leukocyte cell-derived chemotaxin 2)など,従来では別の機能を有するとされていた肝由来液性因子が糖代謝に関与するとする報告が相次いでいる.ヘパトカインを標的とした耐糖能異常に対する新たな診断・治療法の開発が期待される.