日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
抗凝固療法の新時代
山下 武志
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2016 年 105 巻 11 号 p. 2245-2250

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抄録

ビタミンK拮抗薬のワルファリンは,50年以上唯一の経口抗凝固薬として,心房細動,静脈血栓塞栓症に対して用いられてきた.2011年よりトロンビン阻害薬のダビガトラン,Xa阻害薬のリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンという4つの直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)が利用可能となり,その簡便性からこれらの病態に対する抗凝固薬のunderuseが改善されつつある.これらのDOACはいずれも大多数の患者を対象としたグローバル型大規模臨床試験でその有効性,安全性が証明されている.一方で,1)日本におけるワルファリン使用法はこれまでグローバル基準と同一でなかったこと,2)日本ではグローバルと比較して急速に高齢化が進み,大規模臨床試験の登録基準には当てはまらない高齢者が極めて多いことなど,大規模臨床試験の成績だけで日本の医療向上が単純に期待できるわけでなく,今後,様々な新しい課題の解決が必要である.

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© 2016 一般社団法人 日本内科学会
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