日本内科学会雑誌
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今月の症例
診断に難渋した悪性腫瘍に伴う乳酸アシドーシスの1例
田村 恵理谷口 義典西山 充矢田部 智昭井上 紘輔荒川 悠森 正和池添 隆之寺田 典生藤本 新平
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2016 年 105 巻 6 号 p. 1041-1050

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抄録

65歳,女性.高血圧,肥満症で加療中であったが,全身倦怠感,尿閉のため当院受診した.両側水腎症を認め,腎後性腎不全に対し経皮的腎瘻造設術を施行したが,腎障害改善なく,原因不明の遷延性乳酸アシドーシス,無症候性低血糖も認められた.持続的血液濾過透析を施行下に腹部造影CT検査を施行し,腹壁皮下結節および腹直筋の不整肥厚などを確認した.皮下結節およびリンパ節の生検にて形質芽球性リンパ腫と診断した.化学療法を開始し,乳酸アシドーシスや低血糖は速やかに改善した.悪性腫瘍,特に血液系腫瘍ではWarburg効果がみられることがあり,原因不明の乳酸アシドーシスでは,原因として悪性腫瘍の可能性を念頭に精査する必要がある.

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© 2016 一般社団法人 日本内科学会
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