日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
CKDにおけるリハビリテーション
上月 正博
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2016 年 105 巻 7 号 p. 1296-1302

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抄録

腎臓リハビリテーション(腎臓リハ)は,腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ,症状を調整し,生命予後を改善し,心理社会的および職業的な状況を改善することを目的として,運動療法,食事療法と水分管理,薬物療法,教育,精神・心理的サポートなどを行う,長期にわたる包括的なプログラムである.腎臓リハの中核的役割を担う運動療法は,透析患者の運動耐容能改善,protein energy wasting(PEW)改善,蛋白質異化抑制,QOL(quality fo life)改善などをもたらす.さらに,最近になって,保存期CKD(chronic kidney disease)患者が運動療法を行うことで腎機能(eGFR(estimated glomerular filtration rate))が改善するという報告が相次いでいる.腎臓リハにより,保存期CKD患者の腎機能改善や腎機能低下速度遅延が確実となれば,透析導入を先延ばしすることができ,多くのCKD患者にとって朗報となる可能性がある.2011年に日本腎臓リハビリテーション学会も設立され,CKD患者における腎臓リハのさらなる発展が期待される.

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© 2016 一般社団法人 日本内科学会
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