日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
敗血症の新しい定義とその背景
織田 成人
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2017 年 106 巻 1 号 p. 120-126

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抄録

1991年のACCP/SCCM(American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine)の合同カンファランスで提唱された全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の概念に基づく敗血症(sepsis)の定義が,25年ぶりに改定された.新しい敗血症の定義(Sepsis-3)では,敗血症を「感染に対する制御不十分な生体反応に起因する生命に危機を及ぼす臓器障害」と定義しており,臓器障害の評価にはSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアを用い,2点以上の上昇がある場合を敗血症と診断する.これは従来の「重症敗血症」にあたる.そして,敗血症性ショック(septic shock)を「適切な輸液負荷にもかかわらず,平均血圧≥65 mmHgを維持するのに昇圧薬を必要とする,かつ血中乳酸値≥2 mmol/lを呈する状態」と定義した.また,ICU以外での敗血症のスクリーニングツールとしてSIRSの診断基準に代わって,①呼吸数≥ 22/分,②精神状態の変容(GCS(Glasgow Coma Scale)<15),③収縮期血圧≤100 mmHgのうち,2つ以上陽性の場合に敗血症を疑うqSOFA(quickSOFA)の利用を推奨している.

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© 2017 一般社団法人 日本内科学会
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