2017 年 106 巻 1 号 p. 90-98
64歳,男性.7日前から発熱と湿性咳嗽が出現し,抗菌薬で改善なく,当センターを紹介された.入院後,肺炎として抗菌薬投与を続けていたが,大量下血を来たし,血管塞栓術を施行した.さらに,急性呼吸不全のため気管挿管となった.PR3(proteinase 3)-ANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody,抗好中球細胞質抗体)陽性が判明し,鼻粘膜生検で壊死性血管炎が証明され,多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)の診断に至った.ステロイドパルス2回とリツキシマブ投与で寛解導入に成功した.