日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
地域の基幹病院における感染症内科設置の利点と課題
宇野 健司菱矢 直邦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 107 巻 12 号 p. 2524-2531

詳細
抄録

地方では感染症専門医が少なく,なかでも,過疎地域の医療機関で感染症内科を標榜しているところは少ない.地域基幹病院である南奈良総合医療センター(以下,当院)は,2016年4月,過疎地域の公立病院統合再編により開設され,それと同時に感染症内科も設置された.当院の開院の状況から,地域基幹病院における感染症内科設置の利点及び課題について検討した.地域のなかで感染症専門医が勤務する利点としては,施設におけるハード面を専門家として評価でき,ソフト面に関しても主体的にシステム構築を行うことができる点がある.また,地域の感染症データを公表し,微生物学的なアプローチを行うことができ,院内にコンサルトの文化を醸成し,教育の場を提供することもできると考えられる.一方,地域のなかで感染症専門医が勤務するうえでの課題としては,診療スタイルのコンセンサスを院内で事前に得る必要があり,専門医取得のキャリアパスのために院外医療機関との連携が必要であり,また,診療の質を保つために他施設との連携も必要であると考えられる.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top