2018 年 107 巻 8 号 p. 1457-1461
Guillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome:GBS)は先行感染因子と末梢神経成分の分子相同性により発症し,補体の活性化により神経障害が惹起されることが証明されつつある.現在,経静脈的免疫グロブリン療法(IVIG)及び血漿浄化療法が行われているが,近年,重症例を救済することを目的に,補体抑制療法(抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブ)の開発が進展し,第II相臨床試験が終了した段階にある.Crow・深瀬(POEMS(P:polyneuropathy/多発神経炎,O:organomegaly/臓器腫大,E:endocrinopathy/内分泌障害,M:M-protein/M蛋白,S:skin changes/皮膚症状))症候群は,形質細胞増殖に伴う血管内皮増殖因子を中心とした高サイトカイン血症により,多発性ニューロパチーと多臓器病変を来たす重篤な全身性疾患であるが,2000年以降に形質細胞を標的とした自己末梢血幹細胞移植,免疫調節薬(サリドマイド,レナリドミド)が導入されて以来,治療は大きく進歩し,大幅な生命・機能予後の改善に至っている.本稿では,これらの2疾患を中心に免疫性末梢神経障害の治療の進歩について概説する.