日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
ポドサイトパチー
岡部 匡裕松阪 泰二
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2019 年 108 巻 1 号 p. 116-123

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抄録

透析患者数は年々増加し,本邦では30万人以上となっている.医学的のみならず,社会的・医療経済的にも慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の進行抑制は重要な課題である.ポドサイト(糸球体上皮細胞)のスリット膜構成蛋白であるネフリンが1998年に発見されて以来,ポドサイトに関する知見は飛躍的に増え,ポドサイト傷害が不可逆的糸球体硬化症,さらには,CKDを引き起こすことが明確になった.ポドサイト傷害が病態の中心である腎臓病は一括してポドサイトパチー(podocytopathy)として捉えられ,典型的には一次性ネフローゼ症候群の疾患が含まれる.これらの疾患の治療に使用されているグルココルチコイドや免疫抑制薬には,免疫学的作用以外にも直接的ポドサイト保護効果を有する可能性が報告されている.しかし,現状では,ポドサイトを強力に保護し,CKDの進行を抑制することが確立されている治療薬は存在しない.ポドサイトパチー発症・進行機序が解明され,特異的な治療や予防法が開発されることが期待される.

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© 2019 一般社団法人 日本内科学会
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