2019 年 108 巻 12 号 p. 2539-2546
約1年前に経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)の施行歴がある83歳,男性.発熱を主訴に来院し,心エコー検査にて,大動脈人工弁に付着する疣贅が認められ,血液培養検査結果より,Listeria monocytogenesを起因菌とする人工弁感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)と診断された.感染経路として消化管の可能性も疑い,臨床病期II期の進行大腸癌の診断も得た.Listeria monocytogenesを起因菌とするIEの場合には,消化管悪性腫瘍の存在を念頭に置く必要がある.