日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
2型糖尿病患者の病態の多様化・高齢化を踏まえた食事療法の在り方
宇都宮 一典
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2019 年 108 巻 12 号 p. 2561-2566

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抄録

食事療法は,2型糖尿病における治療の基本となるものである.しかし,糖尿病の病態及びその背景をなす食習慣が多様化した現在,一定の管理目標を掲げた画一的な栄養指導には実効性を期待できない.特に高齢者糖尿病では,フレイル予防を念頭に置いた異なる視点が必要であり,病態,臓器障害の有無ならびに年齢等患者の属性に応じた食事療法の個別化が求められている.これまで総エネルギー摂取量の設定は,標準体重BMI 22に基づいてなされてきた.しかし,最近の二重標識水法による研究から,日本人のエネルギー消費量は想定以上に大きな値であることが判明した.肥満者では,この格差が一層広がるものと考えられ,目標体重と総エネルギー摂取量の設定においては,実効性を加味した柔軟な対処に配慮しなければならない.今後,かかる食事療法の個別化に向け,患者を中心としたチーム医療の展開が望まれる.

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© 2019 一般社団法人 日本内科学会
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