2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16122
日本国内で数多くの河川魚類の地域的な絶滅が報告されており,流域全体の河川環境を迅速かつ正確に評価できる手法を開発し,将来的に河川魚類が絶滅する可能性が高い河川区間を特定する必要がある.しかし,流域の環境調査を同時期に行うには,多大な時間・労力を要するため,効率的なモニタリング手法が必要となる.本研究では,環境DNAと安定同位体を併用して,水系内および水系間の流域環境を評価することを目的とした.中国地方の流域特性の異なる2つの一級水系(高津川および高梁川)を対象とし,環境DNA定量メタバーコーディングによる魚類多様度指数と付着性藻類の窒素安定同位体比を併用することにより,魚類多様性と集水域からの人為的負荷を考慮した流域網羅的な河川環境評価が可能になることが示された.