日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
バーチャルリアリティと拡張現実技術の医学教育/医療応用
小山 博史
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2020 年 109 巻 1 号 p. 100-106

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抄録

バーチャルリアリティ(virtual reality:VR)技術と拡張現実(augmented reality:AR)技術の飛躍的進歩と低価格化により,解剖学や看護教育,心的外傷後ストレス障害や幻肢痛等の治療法への応用の期待が高まっている.VR技術とは,主にコンピュータグラフィックス技術や実動画の撮影によって現実世界と類似した仮想世界を作成し,感覚受容器に提示(ディスプレイ)し,仮想世界での体験を可能とする技術である.一方,AR技術は,現実世界に仮想モデル(臓器モデル等)を提示する技術とされる.人工的感覚刺激は,現実世界の感覚刺激と比較して精度が低いにもかかわらず,ヒトはなぜ,仮想世界に存在するような感覚を得るのであろうか.さらに,近年注目されている認知症患者を疑似体験する一人称VR体験において,ヒトはなぜ共感を得るのか.VR技術による仮想世界の体験で生じる現象とその医療応用について,脳科学との関係も含め概説する.

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© 2020 一般社団法人 日本内科学会
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